この記事の概要
「戦術練習をしているのに、試合になるとバラバラ…」
「戦術ボードで説明しても、選手がピンときていない…」
指導者なら一度はこんな悩みを抱えたことがあるはず。
チーム戦術は「伝えた」だけでは浸透せず、「実践を通じて体感」させることが重要です。
本記事では、
✅ 選手が戦術を理解できない原因
✅ 戦術の浸透をスムーズにする具体的な方法
✅ 戦術理解を深めるためのトレーニングアイデア
を解説し、試合で機能する戦術指導のポイントを紹介します。
① 選手が戦術を理解できない原因
戦術を浸透させるには、まず「なぜ理解できないのか?」を明確にする必要があります。よくある原因は以下の3つ。
1. 「言葉だけ」ではイメージしにくい
戦術ボードを使った説明だけでは、動きのイメージが湧きにくく、実際のプレーで再現しづらい。
2. 個々の役割が曖昧
「チームとしての狙い」は理解できても、「自分は何をすべきか?」が明確でないと、試合で迷いが生じる。
3. 「状況に応じた判断」が身についていない
決まった動きはできても、試合の流れに応じた応用ができず、戦術が機能しないことが多い。
② 戦術の浸透をスムーズにする方法
① 戦術を「言葉」→「映像」→「実践」で落とし込む
戦術理解には、「視覚」「聴覚」「体感」の3つを活用することが重要。
✅ 言葉(説明)
まず、シンプルな言葉で戦術の目的を伝える。
→「この戦術の狙いは〇〇だ」「〇〇の状況では△△を意識しよう」
✅ 映像(ビジュアル)
次に、動画や図解を使って、実際の動きを視覚的に示す。
→ プロや過去の試合映像を活用し、良い例と悪い例を比較すると効果的。
✅ 実践(体感)
最後に、実際のプレーを通じて体験させる。
→ まずは「形を作る」→ 次に「判断を加える」流れで習得させる。
★ポイント:
「戦術ボードや説明」だけではなく、「実際に動いてみる」ことで理解を深める。
② 役割を明確にし、個々の責任を伝える
「チーム戦術」としての動き方だけでなく、選手個々の役割を明確に伝えることが重要。
✅ 「チーム全体の狙い」→「各ポジションの役割」→「個人が取るべきアクション」の順で伝える。
✅ ポジションごとの映像分析を行い、成功パターン・失敗パターンを見せる。
✅ 1人ひとりに「自分のやるべきこと」を言語化させることで、理解を定着させる。
例:サイドバックの攻撃時の役割を説明する場合
×「サイドから攻撃しよう!」
○「ウイングが内側に入ったら、サイドバックは高い位置を取る。ボールを受けたら、クロスかカットインの選択肢を持とう。」
③ 判断を伴う「実戦的なトレーニング」を行う
戦術理解は、「型」だけでなく「判断力」を身につけることがポイント。
✅ フェーズごとのトレーニング(段階的に理解を深める)
①戦術の形を理解する → ②限定的な状況でプレーする → ③フルゲームで試す という流れを作る。
✅ 「制約付きゲーム」で判断力を磨く
・ポゼッションゲーム(特定のエリアでボールを回すルールを設定)
・ビルドアップ練習(相手のプレッシャーを段階的に強化)
・カウンター対策(時間制限やゴール数制限を設ける)
★ポイント:
試合に近い状況でトレーニングすることで、戦術理解を実戦レベルに落とし込む。
③ 戦術理解を深めるためのトレーニングアイデア
✔ 1. 「攻撃の原則」を学ぶポゼッションゲーム
【目的】ボール保持時のポジショニングと判断力を磨く
【ルール】
・4対4+フリーマン2人(数的優位を活かしてプレー)
・外側にいる選手は必ず2タッチ以内
・守備側はパスカットを狙う
【ポイント】
・数的優位を作るポジショニングを意識させる
・守備のプレスに応じた判断をさせる
✔ 2. 守備戦術の理解を深める「プレッシングトレーニング」
【目的】チーム全体の守備の連動性を高める
【ルール】
・守備側は2回パスカットしたら攻守交代
・攻撃側は8本パスをつないだら勝ち
【ポイント】
・ボールを奪うエリアを設定し、守備の狙いを明確にする
・1人だけではなく、複数人でプレッシングをかける意識を持たせる
まとめ:戦術を理解しやすくするためのポイント
✅ 「言葉 → 映像 → 実践」の流れで落とし込む
✅ チームの狙いだけでなく、個々の役割を明確に伝える
✅ 「形」だけでなく、「判断を伴うトレーニング」で定着させる
✅ 試合に近い制約付きゲームを活用し、実戦で使える力を養う
戦術理解を深めるには、選手が「自分の頭で考え、実際に動いて体感する」プロセスが欠かせません。練習の中で自然に落とし込めるよう、工夫して指導していきましょう!
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