選手を成長させるためには、効果的なフィードバックが欠かせません。ただし、適切なタイミングや内容を意識せずにフィードバックを行うと、逆に選手のモチベーションを下げてしまうこともあります。ここでは、選手を伸ばすための「3つのステップ」を紹介します。この方法を取り入れることで、選手がフィードバックを前向きに受け入れ、次の行動に繋げることができます。
1. ポジティブな要素を強調する
フィードバックの第一ステップは、選手の良い部分や努力を認めることです。選手はミスや課題を指摘されると、ネガティブな気持ちになりがちですが、ポジティブなフィードバックを先に伝えることで、受け入れる準備が整います。
(1) 努力や姿勢を褒める
結果だけでなく、プロセスや姿勢を評価することで、選手の自己肯定感を高めます。
• 具体例:
• 「今日の試合では、最後まで集中して走り続けたのがすごく良かったよ。」
• 「あの場面でプレッシャーをかけ続けたのはチームにとって大きかった。」
(2) 成功体験を明確にする
選手自身が気づいていない良いプレーや成果を指摘し、ポジティブな感覚を意識させます。
• 具体例:
• 「あのクロスはタイミングも正確だったし、得点につながる可能性が高い良いプレーだったね。」
2. 改善点を具体的に伝える
ポジティブな要素を伝えた後に、改善点を指摘します。このとき大切なのは、あいまいな表現を避けて、具体的なアドバイスを与えることです。選手が「次に何をすればいいのか」を明確に理解できるようにしましょう。
(1) 状況を再現して説明する
改善点を伝える際には、具体的な場面を思い出させながら伝えると、選手にとって理解しやすくなります。
• 例:
• 「後半20分のあの場面、相手ディフェンスが近づいてきたときに、もう少し早くパスを選択するとスペースが使えたね。」
(2) 前向きな言葉を使う
「できていない」部分を指摘するのではなく、「こうすればもっと良くなる」という表現を使います。
• 改善例:
• 「あのドリブルは良かったけど、もう一つパスの選択肢を考えておくと、さらにプレーの幅が広がるよ。」
• 「今はまだ難しいかもしれないけど、次の試合で意識してみよう。」
(3) 一度に伝える課題は1~2点に絞る
複数の課題を一度に伝えると、選手が混乱し、何から取り組むべきか分からなくなることがあります。一度に伝える改善点は絞り込みましょう。
3. 次への行動を促す
フィードバックの最終ステップは、選手が次に何をすべきかを具体的にイメージできるようにすることです。選手自身が自信を持って改善に取り組めるよう、目標を設定したり、具体的なアクションプランを共有します。
(1) 小さな目標を設定する
選手が達成しやすい小さな目標を設定し、それをクリアしていくことで自信をつけさせます。
• 例:
• 「次の試合では、サイドで1対1の場面を2回以上仕掛けることを目標にしてみよう。」
• 「練習では、パスを受けた後に相手を見る習慣をつけるようにしよう。」
(2) 達成を具体的にイメージさせる
「次にどうすればいいのか」を具体的にイメージできるように説明します。
• 例:
• 「次の試合では、ボールを受ける前に首を振ることを意識してみて。これができれば、もっとスペースを見つけられるよ。」
(3) 成長の過程を一緒に振り返る
次の練習や試合で選手がフィードバックを活かした際には、その努力を認め、一緒に成長を振り返りましょう。
• 声かけの例:
• 「今日は言ったことをしっかり意識していたね。あのプレーはすごく良くなっていたよ!」
• 「少しずつ成長しているのが分かるよ。この調子で続けていこう。」
まとめ
フィードバックは、選手の成長を加速させる重要な要素です。そのためには、「適切な方法」と「選手に寄り添う姿勢」が求められます。以下の3つのステップを意識して指導に取り組んでみてください。
1. ポジティブな要素を強調して自信を与える。
2. 具体的な改善点を伝え、次の行動を明確にする。
3. 行動を促し、小さな成功を積み重ねさせる。
このアプローチを継続することで、選手はフィードバックを前向きに受け入れ、自ら成長する意欲を高めるようになります。信頼関係を築きながら、選手の可能性を引き出していきましょう。
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